1989年08月22日

●兵庫文化事業団サマースペシャル

随分と、昔のお話し。いよいよ就職も決まって、さあ学生生活最後の夏休みも終わろうとする時期に、就職活動の解禁日が訪れたわけです。建前上、日本全国の各企業は、紳士協定の中で、採用活動を進めていることになっているのですが、実情は、この解禁日より、随分前に、OB訪問、会社訪問、面接、内々定が出されていて、解禁当日は、他社への訪問をさせない事で、自社が確保した人材を囲い込むという訳です。私が就職する事が内定している先は、解禁日に就職活動を拘束するために、この演奏会を利用したのです。同社の内定者が、皆この公演にでかけたというわけなのです。いい時代に就職したのか、悪い時代にこの業種に飛び込んだのか、今になって考えてみても、どちらだったかは不明です。その結論は、もう少し先になって、歴史がそれを証明してくれる事と思います。
演奏会は、ヴァイオリン・ソロといい、指揮といい、一流の面々で、申し分なかったと思います。当時の私は、今より演奏家に関する予備知識が少なくて、この人たちが、どのくらい有名なのか、実力のある人なのか、殆ど知りませんでした。それでも、演奏は、とても素晴らしく、充実したひと時を過ごせました。この時に、就職した会社は、辞めてしまいましたが、こういう機会を与えてくれたことには、とても感謝しています。
この演奏会で受けた管弦楽に対する深い感銘は、いまだに心に残っています。シューベルトの交響曲の第1楽章の前半などで、ストリングス(弦楽器)が、フレーズとフレーズの間を、クレッシェンド&デクレシェンドの、ちょうど歌の“合いの手”のような部分があり、その様子が、視覚的に例えると、『ミツバチの群れが、菜の花畑に居て、風に伴って、ふわっと群れごと浮き上がる様子』に感じ、とても素晴らしいと思ったのです。
アンコールで、ブラームスのハンガリー舞曲集より第5番をやってくれたのが、とても印象的だったのですが、この指揮者と、ハンガリーが、とても縁のある関係であることは、当時の私には、知る由もありませんでした。

続きを読む "兵庫文化事業団サマースペシャル"