1998年09月15日

●ザ・シンフォニー名曲コンサートVol.32

土曜、日曜のお昼に行なわれる公演を「マチネ」と呼んだりしますが、詳しい意味はよく知りません。今回は、祝日の昼公演ということで、“ホリディ・マチネ”といったところでしょうか。
クラリネットは、1840年頃に、フランスで開発された一般に「ベーム式」といわれるものが、世界中に広まりました。その一方で、「ドイツ式」のクラリネットは、伝統的なクラリネットの仕組みを、守りながら改良を重ねてきたのですが、合理性を追求したベーム式の画期的なシステムの楽器が、より高度な奏法あるいは表現の可能性を求める意味でも多く使われているようで、現在では、ドイツ式は、ドイツとオーストリアという限られた範囲で使われているだけなのだそうです。
マイヤーさんの楽器は、ドイツ式を使うのだそうです。また、モーツァルトでは、“バセット・ホルン”という、普通のクラリネットよりやや大きく丈も長い楽器で、5度低い音程が出せる古典的なクラリネットを使用していました。バゼット・ホルンは、なかりの体力とテクニックが要求される楽器ではないかと察しますが、マイヤーさんの苦にしない演奏に、逞しさのようなものを感じ、深い感動を受けました。何れにしても、“木”の温もりを感じる音色だったと思います。
後半のプログラムでは、ベートーヴェンの不朽の名作「運命」ですが、何時に聴いても、いい曲です。第一楽章の取っ掛かりから、指揮者の小泉さんが、両手を使って、縦に大きく振るタクト裁きは、とても、ダイナミックな音作りを意識した演奏のようで、聴いていて、音楽に引き込まれる勢いを感じながら、冷静に、しかも沈着に聴くことを意識して鑑賞させてもらいました。
 有名なのは、第1楽章ですが、個人的には、第2楽章をどう表現してくれるのかが、この曲のライブを聴く時の、“聴きどころ”ではないかと思います。最初に、チェロ群が奏でる比較的ゆったりとした、長いメロディが、どんどん形を変え、楽器を変え、音楽が色彩豊かに表現されていきます。この楽章に堪能できれば、私としては、大満足です。
劇的な展開を予想させる第3楽章を経て、いよいよ最終楽章に入るのですが、ここでは、浴びるように聴き入りたいものです。個人的好みで言えば、金管楽器が“でしゃばらず”に、厚みの有るアンサンブルを繰り広げてくれると大変有り難いです。
センチュリーは、ベートーヴェンにおいても、クリアな音色で、楽しませてくれました。フレンチ・ホルンもよく頑張ってくれています。また、指揮者の小泉さんの音楽表現と、センチュリーの演奏は、とてもよく似合っているように思います。作曲者、演奏家、指揮者の三面関係が素晴らしいと、第4の関係者である聴衆は、とても感動する時間を過ごせると思います。

続きを読む "ザ・シンフォニー名曲コンサートVol.32"

1998年09月08日

●ヴァイオリンリサイタル

仕事の関係で、泉佐野市役所には、頻繁に行く機会があるのですが、役所では、書類を貰う申請をしてから、それが出てくるまで結構待つもので、ロビーに置いてあるパンフレット等は、見飽きる程見ているわけです。泉佐野市役所では、隣の泉の森ホールでのコンサート案内のパンフレットが置いてあったりするので、時には、こうした掘り出し物の演奏会に巡りあうという事もあるのです。
仕事の帰りに、プラッと音楽会に行くという、何とも贅沢な時間を過ごすのには、こうしたリサイタルは、妙に気構える必要も無く、格好のプログラムだと思います。仮に、時間に間に合わなくても、途中から聴くにも、オーケストラの大曲などを聴くのと較べて、比較的ロスが少ないから平気です。日中の仕事が忙しくて、なかなか音楽どころではないという人にもお勧めしやすいです。
この演奏会では、ドヴォルザークや、ヤナーチェク、ブラームスといった偉大なる作曲家の素晴らしい楽曲に遭遇できたこと、そして、それを奏でる2人の素晴らしい演奏家に出会えたことに、大変感動しました。
諏訪内さんの演奏は、今回初めて聴きました。女性の演奏家らしいエレガントな衣装で登場されたのですが、楽譜が指示する音楽から、余り逸脱しない几帳面な演奏が繰り広げられている感じがして、温かく力強い音色が、心地よかったと思います。
ジェレミー・デンク氏は、身近なところでは、クリスティーナ(チェロ)&ローラ(ヴァイオリン)の“Sweet Times”というCDの中で、“New York,New York”のとき、ピアノを担当していますので、但し、CDの宣伝をするつもりはありませんが、興味のある人は聴いてみては如何でしょうか?強いタッチで艶のある音色に感銘を持たれる事と思います。
この演奏会のプログラムで演奏された曲は、諏訪内さんのヴァイオリンと、1990年のチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で優勝した、ボリス・ベレゾフスキーがピアノという組み合わせで、CDが出ています。但し、こちらもCDの宣伝をするつもりはありませんので、よっぽど興味がある方は、一度聴いてみては如何でしょうかという意味です。
前半のプログラムの中で、ドヴォルザークのスラブ舞曲集より第1番が披露されていますが、民族的なメロディがとても心地よく表現された名曲で、個人的な趣味として、この楽曲は、お気に入りの1曲です。
今回、後半のプログラムに採り上げられたブラームスのソナタは、3作品残しているヴァイオリン・ソナタとは違い、もともとクラリネットのために描かれたソナタを、作曲者自身が、ヴァイオリン用に編曲した作品なのだそうです。こうした作品を掘り起こして紹介するのも演奏家の重要な仕事の一つなのだと思います。
ハンガリー舞曲集って、16曲あるのですね。その中から、3曲。そして、アンコールでは、同第8番が演奏されました。舞曲だけあって、どの曲にも躍動感があり、気持ちが盛り上がる感じがします。オーケストラで聴く“ハンガリの5番”も良いですが、ヴァイオリンとピアノで聴くのも、なかなか乙なもので、結構楽しかったです。

続きを読む "ヴァイオリンリサイタル"