1999年03月10日

●特別演奏会

世界中に、あまた居るヴァイオリン奏者の中でも、最も優れているひとりに評価される渡辺玲子さんですが、一度は、彼女の演奏が聴いてみたいと思っていたところ、やっと、この演奏会にたどり着きました。
コルンゴルドの曲とはいうものの、コルンゴルドって、いったい誰?という世界で、CDショップを探したりして、やっと、この協奏曲が収録されたものを見つけたのが、ハイフェッツが演奏するものでした。実は、この曲は、1947年に、同氏のヴァイオリンで初演されているのだそうで、ある意味、いいCDに当たったともいえそうです。
また、コルンゴルドは、ハリウッドの映画音楽を手がけるなどにより、その才能をいかんなく発揮された人であったようです。『砂漠の朝(1937年)』のために作曲した映画音楽で使用したモチーフは、第1楽章で、『放浪の王子(1937年)』のために作曲された映画音楽で使用したモチーフを第3楽章で、その10年程後に作曲された、このヴァイオリン協奏曲に再度登場させています。このことは、保守的な音楽評論家には、批判が多かったのかも知れない映画音楽という仕事に、彼が誇りを持っていたことを、強く示しているようで興味深く感じます。
演奏会がはじまり、プロコフィエフの交響曲が、心地よく始まると、いつもの安定感あるセンチュリーの音色に、気持ちが、リラックスしていく自分に気付きます。
いよいよ、渡辺さんの登場ですが、演奏は、暗譜ではないようです。というより、この難曲に、正確を規する為に、敢えて、楽譜を見ながらの独奏をするのだろうと思います。演奏が始まると、先ず、渡辺さんのヴァイオリンの音色というのは、他の同じ楽器の音色と一味違うような印象を受けました。客席と奏者の距離感を感じさせない強い響きがあるように思いました。
私は、専門家ではないので、詳しい事は分かりませんが、この協奏曲は、緊張部分と緩和部分の起伏が激しく、オーケストラと、ソリストの連絡のやりとりもスリリングに展開しているので、聴衆としては内容が濃いのですが、演奏家にとっては、大変苦労が多い曲なのではないかと思います。
後半のプログラムは、ファーブルの原作に基づく「くもの饗宴」というバレエのための音楽より抜粋してオーケストラ用に組曲にしたもので、バレエの各場面を描いてある音楽なので、「前奏曲」「蟻の登場」「蟻々の踊り」「蟻は網にかかり、もがく」「蟻の死」「かげろうの孵化と踊り」「かげろうの踊り」「かげろうの葬送」といった情景を何となく頭に描きながら聴いてみるのも良いかも知れない。曲全体としても、管楽器が活躍する部分有り、弦楽器が旋律を奏でる部分有りと、メリハリがあって退屈しない内容になっています。
 大阪センチュリー交響楽団は、ウェブサイト上、公式ホームページと、団員によるホームページを運営しています。公式ホームページでは、プロフィールの中に、共演者のリストを記ししています。同団体の都合なのか、渡辺さんサイドの理由なのかは存じ上げませんが、そこに、渡辺玲子さんの名が出ていません。客観的な感想として、とても残念に思います。

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