2000年02月02日

●2000南海コンサート

たまたま仕事で、今宮の法務局へ行った際に、利用した南海電車の吊り広告にあった「大阪フィル」のコンサート案内を見たのが切っ掛けで、「今一度、朝比奈さんを見ておきたい。」というのは、今回のコンサートに足を運ぼうと思った、実に単純な動機でした。
このコンサートのチケットを購入してから知った事ですが、1月26日お昼のラジオで、桂南光さんが、今度ザ・シンフォニーホールへベートーヴェンを聴きに行くと、まさにこのプログラムについて喋っていました。その前日にフェスティバルホールでブラームスを聴いたという話の続きでした。当日の会場では見つける事は出来ませんでしたが、多分どこかの席にいらっしたのでしょう。
恥ずかしながら、ベートーヴェンのピアノ協奏曲をちゃんと聴くのはこれが初めてでした。予めお断りしておきますが、このページはこの程度のレベルからのスタートです。ソリストの、とても美しい音色が、ロマンティックな流れるようなメロディで耳に心地よく入っていくこの曲は、とてもスムースに聴き入ることができました。とても、丁寧で繊細なピアノを聴けたのは、久々の収穫でした。
 「運命」は、曲が素晴らしいのは言うまでもありませんが、現役最高齢の指揮者といわれる朝比奈隆さん(2001.12.29.逝去)と大阪フィルとの信頼のおけるコンビネーションが、とても安定感あるしかも特徴ある演奏を聴かせてくれたと思います。普段聴きなれている専門家の諸氏にとっては相変わらずなのかもしれませんが、冒頭の有名な下りから、第2楽章で繰り広げられるバリエーション、第3楽章、第4楽章をかけてのクライマックスへの音の重ねてゆき方など、非常に明快で親切な演奏でした。妙味というのは分りませんが、同じメロディが「繰り返される」のではなく、「衣装替え」のように違った音色または、異なる音量で現われたり、「あ!これは?」と何度も思わせてくれました。
アンコール:なし。朝比奈さんは、鳴り止まない拍手に何度も応えておられました。
心より”BRAVO!!”という言葉を贈りたいと思います。
指揮者の朝比奈隆さんは、2001年12月29日逝去されました。
この公演が、私が見た故朝比奈隆さん最後のステージ姿ということになりました。もっと聴いておきたかったといっても、今となってはどうすることも出来ません。
超高齢にもかかわらず、この力強い音楽は、聴いている私自身にも元気を与えてくれました。
故朝比奈氏の音楽を“インテンポの音楽”と評する人がいます。それは、決して機械的ではなく、“作曲家の意図を忠実に再現”するという実直さの中にある“信念”のようなものであり、その誠実さは、必ず人の心に通じるもの。故人は、音楽を通じて、こうした“美学”を、教えてくれた様な気がします。
晩年の数回しか、聴けませんでしたが、素晴らしい音楽を聴かせてくれたことに感謝するとともに、謹んでご冥福をお祈りいたします。

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