●来日公演「絢爛」
今となっては、このコンサートの一聴衆として、参加できた事を感謝しています。職場の師匠には、いつもCDショップに「持ち帰り自由」でおいてある「ザ・モーストリー・クラシック」という、無料(※注意:現在は有料)にしては読みどころの多い雑誌を毎月号ごとに自分の分をもらうついでに、もう一冊を渡しています。この雑誌がきっかけで、先生は、ご家族の方とNHK交響楽団の公演を奈良県まで聴きにいかれたそうで、今度は、是非一緒にと先生の奥様が、このコンサートのチケットを買ってくださいました。とても、ラッキーな出来事でした。当日は、雨の中を先生ご夫妻と3人で電車タクシーを乗り継いで会場にでかけました。
ヨーロッパの気候は、温暖で乾燥しているのと比較して、日本は、温暖ではありますが湿気が多いようです。乾燥した冬場の演奏会は、弦楽器には適した?時期なのかもしれません。しかし、雨に降られてはどうしようもなかったかなと思いつつも、コンサートは、はじまりました。
インド人指揮者が指導するユダヤ人演奏家によるイスラエルの楽団が、ロシアの作曲家による名曲を紹介するという今回のプログラムは、この演奏会に付けられた“絢爛(けんらん)”というタイトルの通り、期待感が高いものでした。ベルリンやウィーンといった有名な海外オーケストラの演奏会は、即日完売というチケットですが、比較的認知度が低かったことが、私たちには幸いして、この演奏会のチケットが残っていた事には、とても感謝したいと思います。
“シェエラザード”は、各パートのソロを担当する奏者は、自分の出番ではここぞとばかりに唄い、TUTTI(全体合奏部分)では、特に金管低音楽器がド迫力の演奏を繰り広げました。また、ティンパニーの好演には、とても意識が吸い寄せられました。演奏後、指揮者が、ティパニー奏者を立たせて、拍手を贈っていましたが、聴衆も大きな拍手をもって、それに共感していました。
この曲は、作曲者リムスキー=コルサコフが残した傑作のひとつでもあるのですが、4つの楽章で構成される交響曲の体裁を持たせながらも、ヴァイオリンソロの美しい旋律が魅了する協奏曲という印象が強く、終始、エキゾチックに展開する音楽は、とても聴き応えがあります。
ショスタコービィチが残した交響曲の中でも、この“革命”は、只今の多くのオーケストラによって、採り上げられる名曲です。彼が生きた時代は、音楽表現が“政治犯”に、繋がってしまう難しい政治的背景をはらんでいた訳で、この様な名曲が、世に出せたのは、ある意味で、幸運な事だったと云えそうです。
第1楽章では非常になだらかな山場をつくり、続く静かな楽章では、繊細なアンサンブルが心地よく流れます。特に第3楽章でのハープの調べは、その繊細さを引き立てていたと思います。最終楽章は、迫力ある金管楽器の響きが伴い、大きく盛り上がる展開となります。ベートーヴェンの交響曲第5番“運命”の形式を備えた分かりやすい交響曲と解説されるように、とても聴きやすい音楽でした。
アンコールは3曲ありました。最初は、リムスキー・コルサコフの歌劇「ホヴァンシチナ」より前奏曲だったらしいです。初めて聴いたのですが、もうどんな曲だったか忘れました。それに、メータさんが、ムソグルスキーと言ったとばかり思っていました。
続いて、チャイコフスキー「白鳥の湖」(メータさんが日本語で紹介)よりワルツでした。鳴り止まない拍手と聴衆のスタンディング・オベイションに、メータさんが、アンコール3曲目(これで最後)の、プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」よりタイボルトの死を、演奏することを告げても立ったままのお客を指差して、「Re-back to seat」とか何とか、英語で注意(ウィット?)する一幕もあったり、とにかく盛り上がっていました。
来日公演「絢爛」
期日:2000年3月4日
開演:午後7時開演
管弦楽:イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ズービン・メータ
会場:大阪ザ・シンフォニーホール
プログラム
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」 作品35
~休憩~
ショスタコービッチ:交響曲 第5番 ニ短調 作品47 革命
