2000年04月07日

●第3回 いずみ定期演奏会

大阪センチュリー交響楽団の公演は、実は、私が今までに出かけた演奏会の中で、最も回数が多いです。その内、いずみホールでの演奏がこの団体の持ち味を一番発揮できているのではないかと思います。また、この団体には、他にないサウンドが潜在していると思うので、常任指揮者の高関健さんが、これからも様様な試みの中から、素人の私にもなるほど素晴らしいと思えるような、また勿論の事ながら専門家の中でも良い評価を受けるような音楽を沢山引き出してくれることを期待しています。
今回は、録音ということで、出来がよければCDになるよう(この録音分も発売されているようです。)です。なおこの演奏には、最新の研究成果を取り入れたベーレンライター版(ジョナサン・デル・マー校訂)を使用しているとのことですが、最近では、ラトル指揮:ウィーン・フィルによって、2000年12月にライブ収録された「運命」が、2001年にCD(EMIクラシックス)発売されるなど、この版での演奏は、世界中でも多く採用されているようです。
また、1997年11月10日(ザ・シンフォニーホール)にて、高関健指揮:大阪センチュリー交響楽団による同版の「英雄」を聴かせてもらった事もありましたが、今回は、一貫性あるセンチュリーらしいとても美しい音作りに終始していたと思います。
交響曲第1番について、比較的ゆっくりのテンポで始まった第1楽章は、冒頭から非常に丁寧且つ神経質な演奏が繰り広げられ、聴いていて、緊張感を持たせてくれる演奏でした。第3楽章については、とても心地よい音の増減を楽しませてもらいました。今後は、もっと自信溢れる表現を期待したい。第4楽章については、第1楽章でのゆっくり目のテンポとの対比で、逆に速めのテンポを採用していたように思いました。思うに、コントラバスのテンポ位が適切だったのではないかと思います。素人の耳ででも、ヴァイオリンの連符が聴き取れるぐらいの音長を保ったテンポへの配慮はないものかと思ったりするのでした。
「英雄」については、正確なリズムに徹した演奏だったのではないでしょうか?逆にいうと、8分音符が並んでいる部分などでは、小節内の拍のキャラクターというか、4分の3拍子についての1拍目、2拍目では、音の強さは、長さは、3拍目から次の小節への繋がりは?ということなのですが、残念ながら楽譜どおりだから精巧に演奏しているといえば、それまでですが、例えば、ヨーロッパの香り漂うウィンナー・ワルツが独特のリズム感を持っているように、日本的、大阪的、あるいはセンチュリー的な演奏の特色があっても良かったのではないか?残念ながら音に反映されてはいなかったように思います。ちなみに、アーフタクトにアクセントが入る効果がもう一つ理解できませんが、きっと音楽的または専門的な意図があってのことなのでしょう。スコアを見たわけでもないので想像の域を超えませんが、たとえば>記号がデクレシェンドかアクセントかというような譜面上の解釈などについてもよくは解りませんが、どうせアクセントを表現するなら、交響曲第1番第1楽章冒頭で聴かせてくれたような「溜め」があってもよかったのでは?要するに、聴き手としては、オリジナルの楽譜の正しい記載がどうであったかという事より、むしろ如何に合理的で説得力のある演奏をしてくれるかに感心があるのです。
第2楽章では、フレーズの受け渡しで、音が重なり増えていく流れが非常に楽しめました。また、弦楽器のみで、音が控えめに転換する場面から「p」にかけて、とてもよかったです。第3楽章では、フレンチホルンの1回目何をやっているのか分らないハーモニーから、木管に移って、その木管楽器の音色がとても美しかったですし、演奏後指揮者が賞賛していたのは、この部分についてでしょうか。また、もう一度フレンチホルンが現れて、今度は、美しいハーモニーを聴かせてくれました。いつも、残念に思うのは、フレンチホルンの優れた演奏が、音作りでのバランス的に、私の耳にはもう一つ馴染みにくく、まだまだ改善の余地があるような気もします。
第4楽章では、第1楽章とは、拍子が異なりますが,個人的には、この異なる拍子の中に出てくるスタッカートの音形で第1楽章を思い出させる表現があっていいと思っています。演奏内容では、フルートの音色は、とても美しかったです。生の演奏では、こういう所が集中して表現できるとできないとでは、受ける印象がかなり変わってしまうように思いますが次回に期待したいと思います。
演奏は、大変優れた技術力を披露してくれていて、正直言っていつも感心させられるのです。ただ、今回については、プログラムに使用楽譜を明示して、「ベートーヴェンのオリジナルへの研究成果を実際演奏するとこうなる。」と、いう試みだったと思いますが、専門家なら別の評価もあると思いますが、素人の私にとっては、とても受け入れにくい演奏でした。次回以降の好演奏を期待しています。

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