●2月定期演奏会Aプログラム
本日のお仕事もこそこそに、早引きの許可を得て、関空から羽田へ向かいました。世界中で、物騒な出来事が起こる昨今、国内線については、手荷物検査場での検査が強化されていて、少し暇がかかるという以外、関西空港は、スムースに機能していました。また、羽田空港も、これが数日後なら、米国大統領訪日を控えた厳重警備体制というところでしたが、本日は、平常通りでした。比較的乾燥した冷たい空気を感じつつ羽田に降り立つと、とりあえず会場の最寄であるJR原宿駅(渋谷からでも歩いて行けますが)に移動しました。流石に、東京は人が多く、平日の4時過ぎという時間帯でしたが、電車が、かなり混雑していました。
NHKホールを訪れたのは、2度目ですが、前回の1階席より、今回は、少し後ろに下がり2階席(正面S席)からの鑑賞という事になりました。ステージは、かなり遠くに見えますが、比較的視力が強い私には、殆ど支障がなく、むしろステージの全体が一望できる雰囲気を楽しむ事が出来ました。
1959年に来日したストラビンスキー(作曲家)が、偶然この曲を聴いたという逸話が解説書に載っていましたが、これが切っ掛けで、この作品が世に認知され、武満徹の出世作となった「弦楽のためのレクイエム」は、現代音楽の難解な和音が、私には、聴き入るのに、音楽に対する経験や知識といった理解力が必要な感じがしました。緊張感がある独特の響きを、ゆっくり、静かに、伝える音楽は、素人の私に、この楽曲の何を理解できた訳でもありませんが、筋の通った表現で、心に強く訴えて来る感じを受けました。
諏訪内さんが登場するコンチェルト(協奏曲)は、管弦楽は、2管編成での登場です。諏訪内さんは、先日の大阪でのリサイタルと同じスタイルの衣装で登場されました。第1楽章は、冒頭のソロヴァイオリンから始まる主題が、やや足早に感じながらも、スムースに展開する変奏が楽しめました。第2楽章は、私見ですが、作曲者プロコフィエフらしい音楽です。分散和音がベースとなり、その上に、ゆったりしたメロディーが乗っかるのですが、ヴァイオリンの様々な音程での美しい音色を堪能できました。一転忙しく展開する最終楽章では、N響、と諏訪内さんとの絶妙なバランス感覚を楽しむ事が出来ました。
前半の演奏が終わり、鳴り止まない拍手に、何度も応えるデュトワさんと諏訪内さん、そしてN響の皆さんでした。15分の休憩を挟んで、いよいよ後半は、フル編成で登場する「幻想交響曲」です。
重苦しい雰囲気のある第1楽章は、この曲全体に、再三登場するモチーフ(解説書では“固定楽想”と書いてあります。)がヴァイオリンとフルート、ストリングスなどで現れます。“まわい”を充分にとった先を急がない演奏は、とても新鮮な感覚を楽しませてくれました。第2楽章は、舞踏会を表現します。シンプルに刻む3拍子のリズムは、2拍目を短く3拍目を長くといった感じは受けるものの、全く不自然ではなく、とても軽快に流れていて、心地よいワルツを楽しみました。イングリッシュホルンとオーボエ(舞台裏から演奏?)の素晴らしいかけ合いから始まる第3楽章は、長く静かに展開するのですが、特に、今回、イングリッシュホルンの美しい音色が好印象でした。
金管セクションが活躍する第4楽章(断頭台への行進) は、勇壮な弦のイントロに続き、ファンファーレ風に展開するのですが、高らかに響かせるトランペットや、そのベースに鳴るバストロンボーンの響きにも嫌味が無く、パーカッションとチューバが後押しをする迫力ある演奏でした。
最終楽章は、デュトワさんによるN響サウンドの独壇場といった感じでした。ストリングスが弾く旋律では、独特なアクセントで唄いまわし、また、楽章の後半にさしかかり、特に、1stクラリネットと1stフルートの音色がとても美しく、木管楽器が活躍する部分では、他セクションとの連絡の良い演奏がとても新鮮に感じました。舞台裏から打ち鳴らす鐘の音も、違和感が無く、鍛えぬかれた弦楽器群の速い展開の音楽も素晴らしく、劇的なエンディングに至るまで、何処にも不満を感じさせない演奏でした。

