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2002年03月23日

●今をときめくソリストたちⅡ

以前、滋賀県の野洲ということろに、諏訪内晶子さん等によるトリオ・リサイタルを聴きに行った事があるのですが、今回は、さらに遠くて、おおかた東京に近い神奈川県は厚木市まで、足を運ぶ事になりました。チケット代の何と10倍という交通費を惜しみなく輩出して、この忙しい3月の貴重な休日を、音楽会にあてると云う行いは、ある意味“お金と時間の浪費”とも云える(間違いなく浪費)のですが、こうして、日頃の目に見えないストレスを、自分なりに解消していると説明しておきます。
プログラムは、ピアノだけの楽曲から演奏されました。彼女がリリースしているCDの中にも収録されている吉松隆さんの音楽ですが、優しいメロディに、広がりをもたせる分散和音が、心地よく流れるように構成されていて、田部さんの、透明感あるピアノの音色が、とても耳に馴染み易く受け入れられた気がします。
続いて、ヴァイオリンとチェロのデュオですが、文句無く渡辺さんのヴァイオリン演奏には、貫禄すら感じさせてくれる安定したものです。彼女のシンプルな演奏スタイルには、清潔感がありながらも、その音色には、いつも独特の“あじ”を感じさせてくれるのが楽しみです。素人目には、軽く弾いているように見えるリラックスした姿勢から、あれだけ強い音が出せるのは、不思議でなりませんが、この辺りが、プロたる所以なのかとも思います。
向山さんについては、以前、某公共放送の「おしゃべりクラシック」という番組パーソナリティとして、渡辺さん(といっても、渡辺徹さんですが)と、レギュラー出演しておられたので、名前は、よく知っていたのですが、私自身、生で彼女の演奏を聴くのは、今回が初めてです。
チェロは、個人的なイメージとして、遠鳴りする楽器という感覚があるのですが、此処の木で覆われた会場のせいか、それとも彼女の演奏の特徴的な部分かはよく解らないながら、音の伝わり方が、客席の身近な場所に響く感じがして、特に、低音の力強さは、奏者が女性である事を忘れるくらいだったと思います。
コダーイの楽曲は、メロディについては、時代的な新しさを感じさせているのですが、曲の構成は、古典的な要素を基本にしていて、難しいながらも、聴き疲れのしない音楽でした。第2楽章冒頭の、チェロの低音の効果が大変気に入りました。
15分の休憩をはさみ、後半のプログラムは、いよいよ3人揃っての登場です。ピアノトリオは、「小さな編成の交響曲」といった感じの音楽で、誰が主役でもなく、3人が均衡する音楽が、音の共鳴という意味を超えて、音楽の共鳴が、感動の幅を広げる効果を生み出しています。多くの作曲家がピアノトリオ作品を残していますが、この編成による作品には、たいそう魅力があったのだと思います。
渡辺さんのヴァイオリン演奏は、とても良かったし、田部さんのピアノも、力のある演奏でした。何よりも、今回、向山さんのチェロ演奏には、感激しました。
アンコールは、ドビュッシーのピアノ三重奏曲より第3楽章でした。

今をときめくソリストたちⅡ

期日:2002年3月23日午後4時開演
会場:厚木市文化会館・小ホール(神奈川県)

ヴァイオリン:渡辺玲子
チェロ:向山佳絵子
ピアノ:田部京子

吉松隆:「プレイアデス舞曲集」より(ピアノ)
1.小さな春への前奏曲
2.水晶の小さなロマンス
3.火のモデラート
4.放物線をしたロマンス
5.夏のパストラル
6.金のアダージョ
7.ロンド・・・春ふたたび
コダーイ:二重奏曲(ヴァイオリン、チェロ)
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番二短調 op.49(ヴァイオリン、チェロ、ピアノ)