●ザ・シンフォニー名曲コンサート
ザ・シンフォニーホールには、シンフォニアという会員サービスがあります。運営は、当ホールのチケット代から賄われていて、これに登録しておけば、ザ・シンフォニーホールでなら誰にでも配っている“シンフォニア”という月刊の案内誌が、定期的に自宅に送付されて来たり、チケットの先行予約などの特典があったりします。
今回、特に予定していなかったのですが、シンフォニア3月号の特集記事を読んだのが切っ掛けでした。その記事では、ソリストのカントロフさんが、1998年に来日した際、ラヴェルのツィガーヌという難曲を演奏したのを聴かれたようですが、かなり誉めていたので、そんなに書くのならよっぽどなのだろうと思い、聴いてみようと思ったわけです。
コンサートは、ファランドールで幕を開けたのですが、ここで、忘れてはいけないのが、指揮者の飯森さんについてです。私は、彼がタクトをとる演奏会に遭遇するのは、今回が初めてでした。若々しく、自己主張のある力強い指揮振りは、さわやかな印象を受けました。
前半のプログラムは、この後、編成を少し小さくして、カントロフさんが登場です。音楽は、世界共通語なのでしょうが、フランス語の“間”で、お喋りをするような感じさえ受けるソリストの“思うツボ”といった自在な演奏が、それとは対照的に、実直な伴奏との均衡を楽しませてくれました。
序奏とロンド・カプリッチョーソでは、指揮者とのアイ・コンタクト宜しく、熱い音楽を、サラッと弾きこなしていたように思います。
ラヴェルのツィガーヌでは、冒頭よりインテンポで入るソロが、記事の云う通り、音程に不安など微塵も感じさせず、見た目は淡々としているに、G線を熱く唸らせる演奏が印象的でした。ラヴェルの曲について、いつも思う事は、ピアノトリオにせよ、ボレロにせよ、曲自体が、感情に直接刺激を与えてくれるような魅力的なものが多いということです。
ツィガーヌとくれば、お次は、サラサーテのツィゴイネル・ワイゼンか、この曲しかないでしょうと云う所の「カルメン幻想曲」という訳で、5曲目の“ジプシーの歌”では、やや足早に展開したのが、もったいないくらいに感じましたが、とにもかくにも、ヴァイオリンの音楽を存分に楽しませてもらいました。
後半のプログラムは、サン=サーンスの交響曲という訳で、これも、私自身、ここのホールに何度も足を運んでいながら、今回初めて、パイプオルガンの演奏を聴くことになりました。曲は、2つの楽章による曲の構成は、各楽章が、前半と後半の要素に分かれているので、聴いた感覚では、伝統的な4楽章の交響曲と変わらない感じもします。
やはりパイプオルガンは、壮大な響きをホール全体にもたらしてくれます。特に、第2楽章後半に登場する部分は、曲としての盛り上がりに拍車を掛けます。指揮者の飯森さんが、強くタクトを振るので、その動きに、ストリングスも厚く響きを増し、管楽器群とのバランスもとても心地よく感じられました。また、個人的な音の好みかもしれませんが、オーケストラの響きとの間に違和感を感じてしまいがちなフルートについて、私は、NHK交響楽団以外の国内のオーケストラでは期待していなかったのですが、今日の演奏は、とても自然な響きに好感が持てました。演奏中、身体が揺れなければ、もっと良かったのですが。
アンコールは、ビゼーの歌劇「カルメン」より、第3幕への間奏曲。続いて、前奏曲でした。とても楽しい日曜マチネでした。
ザ・シンフォニー名曲コンサート
期日:2002年3月17日午後2時開演
会場:ザ・シンフォニーホール(大阪市)
管弦楽:大阪センチュリー交響楽団
指揮者:飯森範親
ソリスト:ジャン=ジャック・カントロフ(ヴァイオリン)
ビゼー:「アルルの女」第2組曲より “ファランドール”
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリッチョーソ op.28
ラヴェル:ツィガーヌ
サラサーテ:カルメン幻想曲 op.25
サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調「オルガン付」op.78
