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2003年03月15日

●情熱のタクト

大阪センチュリー交響楽団の公演を聴いたのは、昨年の5月「いずみホール」での“いずみ定期演奏会No.11”以来で、ザ・シンフォニーホールでの同響の演奏会となると、約1年ぶりです。あまりにも近すぎて、疎遠となっていたことを反省しながら、久々に聴くセンチュリーの美しい響きに、大きな期待を寄せて、ホールに向かいました。
これも季節感というものでしょうか?この時期は、花粉症に悩まされている人も少なくないかと思いますが、演奏家もその例外ではないらしく、きっと花粉症なのだろうなと思われる人が、視覚的に感じられました。弦打楽器はとりあえず良いとしても、管楽器の方は、花粉症だと、普段以上に、口を大きく開けてブレスをする必要があるように見受けられ、かなり、お気の毒に感じられました。
演奏会は、シベリウスのフィンランディアで始まりました。指揮者のコバケンさんは、オープニングから、パワフルなタクト裁きを見せてくれました。コバケンさんの音楽に、もう少し“サラッ”とした演奏を期待した私が間違っていたのかも知れませんが、やや頑張りすぎに聴こえる管弦楽が、静かに聴きたかった中間部を、グイグイと演奏していったので、私には騒がしくてなりませんでした。
ラフマニノフのピアノコンチェルトは、ちょうど2年前に、NHK交響楽団の演奏会で聴いて以来のライブ演奏を聴いたのでしたが、この楽曲は素晴らしいと、あらためて思いました。 演奏は、ピアノソロから入る第1楽章の冒頭は、かなり丁寧に弾いておられたように感じました。厳かな行進曲のような部分では、管弦楽が頑張っていた分、ピアノソロに、もう少しエネルギッシュな部分を求めたかったような気がしました。
第2楽章では、フルートのオブリガートに、ニュアンスの不自然さを感じましたが、分散和音でのクラリネットの音色がとても美しく、概ね心地よい音楽が聴けました。第3楽章は、メロディ的にも音量的にも壮大なスケールで展開しますが、終盤のロマンチックなメロディは、まさにクライマックスといった感じで、個人的には、この楽曲の好きな部分でもあるのですが、今回、質の高い弦楽器群の美しい響きと、ピアノソロとの両方を、堪能させてもらい、とりあえず満足かと思います。
今年は、既に、ベートーヴェンの交響曲第7番は、2月に読売日本交響楽団の公演で聴いています。CDなんかでは、1週間に、5回以上は聴いているほど、好きな楽曲です。今回の公演は、このプログラムの為に、聴きに来たと言って過言では有りません。
ミストーンについては言及するつもりはありませんが、色んな意味で、思いの外の演奏でした。かみ締めるようなテンポで終始した第1楽章は、私見ですが、オーボエとフルートの葛藤が興味を惹き付けました。何への気遣いか?やや走りたいフルートに対して、我慢のオーボエが、なんとなく健気でなりませんでした。
第2楽章は、コバケンさん特有ともいうべき、粘りの有るフレーズの取り方が、情熱的な音楽を、演出していたとは思いますが、まだまだ指揮者の意図したい事があったような気がしました。響きを大切にした第3楽章は、好感が持てました。静かな音楽の部分は、普段気に止めないというか、聞き流しているのかもしれませんが、今回、しっかり聴かせて貰いました。
第4楽章は、良くも悪くも迫力の有る演奏でした。金管楽器の響きは、とても迫力がありましたが、もう少し、細かい打ち合わせを、要したのではないかと思うような部分があったのが残念です。具体的には、再現部に入るブリッジのような部分で、トランペットが、ロングトーン&クレッシェンドに続き、“タッターン、タッターン”と、ファンファーレ風に吹く処が2回あると思います。今回は、やや誇張気味に演出していたのですが、普段と違う分、2回(特に2回目)共、うまく合っていませんでした。また、所々で濁った和音が感じられたのは、気のせいでしょうか?
プログラム全体を通じて、コバケンさんの音楽を楽しめたという点は、充分に満足しています。アンコールのブラームス作曲「ハンガリー舞曲集」より第1番を演奏するに先立って、コバケンさんは、コンサートマスターに、「白鳥」「塩が足りない」の日本語を、ハンガリーの言葉で、発音してもらいながら、日本語とよく似た言葉があることを紹介されました。この話題は、以前、コバケンさんが指揮する公演を聴きに行った時も、されていましたが、今回も、その時と同様に、客席では、笑いが起きていました。
なお、打ち合わせに無いと言いながら、ベートーヴェンの交響曲第7番の終盤30秒程を、最後にもう一度演奏されていました。演奏家の皆さんに対して、コバケンさんが、楽譜の「Kからお願いします。研一郎のKです。」とか、言っておられたのも、客席では、受けていました。
今回は、演奏家が日本語が分かるので、オーケストラに内緒で、客席と打ち合わせして、演奏終了後のスタンディングオベイションをするといったコバケンさんからの提案は、有りませんでした。

小林研一郎“情熱のタクト”

期日:2003年3月15日午後2時開演
会場:ザ・シンフォニーホール(大阪市)

管弦楽:大阪センチュリー交響楽団
指揮者:小林研一郎
ソリスト:仲道祐子(ピアノ)

シベリウス:交響詩「フィンランディア」 Op.26
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ長調 Op.18
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 Op.92