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2003年05月28日

●第85回 定期公演

2003年4月から、大阪センチュリー交響楽団の主席指揮者に就任したという、小泉和裕さんが指揮する定期演奏会でした。就任記念ともいうべきこのプログラム。楽員の皆が、さぞかし高いモチベーションを以って、演奏に臨まれている事かと、期待に胸を膨らませて会場に向かいました。
ホールに入ってから、ホワイエでコーヒーを飲みながら、リラックスタイム。ギリギリに着席して見たのですが、どうも満員っぽく有りません。ていうか、私の隣席は空席でしたし、1階席でも、ぽつらぽつら空席がありました。「これは不味い!」と、心の中で叫びつつ、始まった演奏に、その予感は的中してしまいました。
重箱の隅を箸で突っつくような気は、元から有りませんが、前半のプログラムで、拍手を贈りたい場面は、ついに見つかりませんでした。ソリストは、非常にデリケートに音符を連ねてくれて、技術力の高さを感じはしたのですが、私の耳との相性が悪かったのでしょうか?ブラームスの楽曲では、ついつい期待してしまう“心を動かすフレーズ”が、ほとんど無かったように感じました。
何となく押し切った感じが否めなかった、後半のプログラムでは、少しは、持ち直したかな?という感想でした。指揮者が、気分良く?唄っていた(ような気がする…)第2楽章は、楽しめました。
管楽器は、強く出るときは、フレンチホルン以外は、バランスが取れるのですが、木管楽器のソフトなサウンドには、もっともっと、緻密なアンサンブルを、お願いしたかったと思います。弦楽器は、フォルテでは、頑張って鳴らしていたと思います。ただ、センチュリー特有の弦サウンドに期待する一観衆としては、意外でした。粒ぞろいで洗練された弦楽器群による音符の集合体が、クリアな故に、鋭く且つ立体感のあるサウンドを楽しませてくれた従来に較べると、パワーの集合体による、音のかさ上げが、やや押し付けがましい印象がありました。
聴く側の趣味の問題ですが、それが、良い意味か悪い意味かは、今後の演奏会を聴く中で、明らかになっていくのだろうと思っています。
今回の演奏会は、正直なところ、残念ながら、賞賛に値し難い印象を、終始受けました。以下は、何の根拠も無い私の勝手な憶測に過ぎませんので、私の戯言としてお読みいただきたいのですが、指揮者は、主席指揮者に就任する以前にも、何度も大阪センチュリー交響楽団と、共演していますし、私ですら、幾度か、その演奏会を鑑賞した経験がありました。当然ながら、指揮者は、これまでの大阪センチュリー交響楽団との経験から同オーケストラの実力を踏まえた上で、この度の就任にあたって、同オーケストラに、幾つもの演奏上の期待を寄せたのではないか?と、思うのです。ただ、残念ながら、オーケストラ側は、それを消化するだけのキャパシティ(容量)を、超えてしまったか?もしくは、時間が足りなかったか?という情況に陥ったかの印象を受けたのです。今回の演奏会を聴くという事は、私には、フラストレーションの多いものとなってしまいました。
いろいろな問題はありました。しかし、一音楽ファンとしては、けっして落胆するものではありません。何故なら、それは、今あるオーケストラが素晴らしい技術を持った集団であるという前提で、その中にも、課題がたくさんあるということが、分かったという事に過ぎないからです。また、新任指揮者の登場を契機に、新しいファン層の獲得という意図が、はっきり感じられました。既往のファン層を、守っていく事も大切ですが、それだけでは、大阪のクラシック音楽文化は、低迷するばかりだと思うので、ぜひ、成功して欲しいと思います。
いま始まったばかりの小泉さん時代に、むしろ期待が高まるばかりです。「次は、この点が、その次は、あの点が、」と、少しずつ、新しい指揮者の風が吹き込まれて行けば、今までとは、違った感動を、今までと同じオーケストラから得られると思います。そう考えるに連れ、次回以降の演奏会が楽しみになってきました。まぁ、プロ野球のペナンとレースに例えていうなら、「開幕試合には、負けたけど、長いシーズンの1試合に過ぎない。」というところでしょう。“残り試合”の奮起に、期待しつつ。

第85回 定期公演

期日:2003年5月28日午後7時開演
会場:ザ・シンフォニーホール(大阪市)

管弦楽:大阪センチュリー交響楽団
指揮者:小泉和裕
ソリスト:ジェームス・エーネス(ヴァイオリン)

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲二長調 op.77
チャイコフスキー:交響曲第4番へ短調 op.36