●来日公演
私が、このオーケストラと、指揮者のフェドセーエフさんを、知ったのは、たぶん高校時代だったと思うので、もう20年も前の話になります。テレビで、グリンカ作曲:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲の、演奏を、放映していて、それを、偶然に、視聴したのでした。この曲と、この時の演奏に、感動したのでした。それ以後は、CDやテレビで、モスクワ放送交響楽団の演奏を、聴く機会はありましたが、一度は、生で聴いてみたいと思いながら、いつも、こちらのスケジュールが合わなかったり、チケットが、取れなかったりでした。
という訳で、最も、生で聴きたかったオーレストラの演奏会に、やっと行くことがかないました。それも、フェドセーエフさんとのコンビでというのは、申し分ありません。今回の、日本公演は、大阪公演も組まれていましたが、コンチェルトのソリストとシンフォニーのプログラム内容で、平日の東京公演を、選択しました。
サントリーホールは、素晴らしいホールです。天井は高く、ワインヤード型レイアウトの客席は、傾斜は、なだらかに設計されているし、個々の座席も、寛げるスペースが、とられています。今回は、1階後方の上手寄りブロックで、2階のヒサシに、辛うじてかからない場所が、私の指定席でした。ヴァイオリンのソロを聴くには、ちょっと、遠かったのですが、良い席であったことには、「間違いない!」という感じです。
楽員の皆さんが、ステージに登場され、まず、特に、驚いたのは、弦楽器のレイアウトでした。全体の配置を、コントラバス以外のストリングスから言うと、舞台中心最前列に置かれている指揮台を挟んで、上手側(舞台に向かって左手)手前が、1stヴァイオリン、奥がヴァイオリンチェロです。下手側(上手の反対側)手前が、2ndヴァイオリン、奥がヴィオラです。その後ろ2列目は、木管楽器で、前列は、上手側から、フルート、オーボエ。後列は、上手側からクラリネット、ファゴット。3列目は、金管楽器で、トランペット、トロンボーン、テューバ、フレンチホルン、そして、いよいよ最後列は、9台のコントラバスが、正面向いて、控えてます。また、パーカッションは、木管楽器より上手側に、マレット類の楽器、金管楽器より下手側に、スネアドラム、ティンパニー、シンバル、バスドラムという、並びでした。
第1、第2ヴァイオリンが、左右に分かれるという、特徴的な並び方は、日本では、高関健さんが、音楽監督をしていた当時から、採用した大阪センチュリー交響楽団のそれと、類似すると思います。個人的には、このレイアウトは、以前から、賛成でしたが、こういう全管編成でも、音楽が、大変ワイドに、楽しめたと思いますので、賛成です。
第1曲目の歌劇より2つの作品は、1つ目の軽やかなシンコペーションのノリと、2つ目の、やや暗い趣の中に、ややヨーロッパを意識したようなワルツを、楽しませてくれました。ボリュームを、マックスに、持っていくのではなく、洒落っ気すら感じさせる、ゆったりした時間を、提供してくれました。
続いて、黄金色のドレスに、身を纏った日本人の若い女性ソリストが、登場するコンチェルトです。彼女は、コンクールで、優秀な成績を収めてきたエリートで、大変技術力の高い演奏を聴かせてくれました。一度も、不安に思う処はなく、安定した音楽を、聴かせてくれました。第1楽章の前半を、リラックスした気持ちで、聴いているうちに、「チャイコフスキーのコンチェルトって、難しいのだなぁ!?」と、思いました。第2楽章は、静かな心もちにさせてくれて良かったと思います。終楽章は、このホールに、来て直ぐ思ったように、ステージから、私の席が遠かったので、オーケストラの伴奏ばかり聴こえました。何れにせよ、彼女のヴァイオリン演奏は、少し、期間を置いた後にでも、もう一度、聴いてみたいと思います。その時には、良い意味で、私の想像を、裏切ってくれる事を、期待します。
気を取り直して、後半のプログラムは、ラフマニノフのシンフォニー第2番です。このオーケストラの特徴が、どの位楽しませてもらえるのかと、おおいに期待しました。第2楽章にあるような、この作曲家得意のムーディーなモティーフは、ある意味、サラッと、聴かせてくれましたし、随所に、木管楽器のソロは、味のある演奏でした。コンサートマスターのソロも、良かったと思います。最終楽章は、ストリングス群の透明感あるユニゾンは、素晴らしかったと思います。tuttiiでの、迫力も楽しめました。
今回、遠くから、来てよかったと思える演奏会で、とても満足しました。ちなみに、アンコールは、2曲で、最初に、スヴィリードフ:「吹雪」より、ワルツの響き、次に、チャイコフスキー:「雪娘」より、道化師たちの踊り、でした。
来日公演
期日:2004年5月18日午後7時開演
会場:サントリーホール(東京都/赤坂)
管弦楽:モスクワ放送交響楽団
指揮者:ウラディーミル・フェドセーエフ
ソリスト:川久保賜紀(ヴァイオリン)
グリンカ:歌劇皇帝に捧げた命」より
1.クラコヴィアーク
2.ワルツ
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調Op.35
ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調Op.27
