2005年02月09日

●東芝グランドコンサート 2005

今年は、オーケストラの演奏会を鑑賞するのは、これが初めてとなります。
外国のオーケストラの来日公演は、その希少価値とチケット価格は比例しますが、期待度とチケット価格とは、必ずしも比例すると期待はしていません。今回は、諏訪内さんとウォルフさんのコンビで、コンチェルトを聴いてみたいと言うだけの動機で演奏会に足を運ぶ事にしましたが、結果的に、ちょっと高かったかな?という感想です。
とはいうものの、ウォルフさんは、数年前にTVで放映された演奏会の中で良い指揮者だなぁという印象があって、今回、生で演奏を聴く機会が巡ってきたということで、そういう期待には、充分に応えてくれた、良い演奏会であった事は確かです。
今回、訪れたホールは、大阪の老舗多目的ホールというか、年季が入ったホールというか、大阪フェスティバルホールです。このホールは、伝統を感じさせる雰囲気が、とても良いのですが、一度改修でもしてリニューアルして欲しいと言うのが率直なところです。
この立地、この規模のホールは、コンサートには、最適です。但し、オーケストラの音が、何かにかき消される事はさすがに有りませんが、響きが遠いというか、舞台から客席にうまく伝わってこない感じがするのです。金管楽器演奏者などは、苦労しているように見えるのは気のせいでしょうか?個別の演奏についてではなく、ここで聴いた全ての演奏について、そう感じるのです。
前半のプログラムは、ベートーヴェンの序曲から始まりましたが、聴いている側として、もう一つ、音楽を鑑賞する集中に入り切れませんでした。
本日のソリストは、たぶん、今日が、お誕生日の諏訪内晶子さん。以前にも、見た事があるような、肩紐付きの赤ワイン色のお上品な光沢があるワンピースで、登場されました。
何時もながら、その繊細さは、ともかくとして、あの細身の何処から、こんなに、力強いヴァイオリンの響きというか、音色が生み出されてくるのか、本当に不思議です。
コンチェルトは、第1楽章冒頭こそ、せかせかした感じがしましたが、ソリスト主導の展開に、オーケストラが軽く付き合っているような印象を、受けました。カデンツの内容は、今までに、聴いたそれとは、違った印象を受けました。もしかして内容が違っていたのでしょうか?
第2楽章では、よーく、引っ張ったというか、やや退屈な音楽を、聴かせてくれました。良くいうなら、ゆったりとしたフレーズを、伸び伸びと聴かせてくれたということでしょうか?終楽章では、軽快な、“ノリ”を、楽しませくれたりしました。これは、今までに、聴いた諏訪内さんの演奏にはない、新しい雰囲気を持った、演奏だったように思ったので、とても新鮮な印象を受けました。総じて、オーケストラと、ソリストの均衡よりも、ソリストの、自由闊達な、表現を、楽しませてもらいました。
前半は、客寄せを、狙ったのかな?と、思わんでもなかったプログラムでしたが、実際、こうして、聴き終えて見ると、けっこう楽しめたという、感想になりました。
後半のプログラムは、全管編成のオーケストラが、存分に、威力を、発揮した、迫力ある「巨人」でした。やはり、この楽曲が、この演奏会のメインである事は、来る前から、分っていた事ですが、実際、その通りでした。とくに、本日一番の聴かせどころともいうべき、第3楽章冒頭からの音楽は、美しくて、楽しめました。
実は、初めて聴いたのです。この超有名な交響曲を。最近、というより、ここ数年、マーラーの交響曲を聴くようになりました。それまでは、難しいのだろうという、先入観を、持っていました。第1番においても、その嫌いは解けたように思います。
アンコールは、指揮者のヒュー・ウォルフさんが、日本語で曲名を紹介した、ワーグナーの歌劇「ローエングリン」より、第3幕への前奏曲でした。

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2004年05月18日

●来日公演

私が、このオーケストラと、指揮者のフェドセーエフさんを、知ったのは、たぶん高校時代だったと思うので、もう20年も前の話になります。テレビで、グリンカ作曲:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲の、演奏を、放映していて、それを、偶然に、視聴したのでした。この曲と、この時の演奏に、感動したのでした。それ以後は、CDやテレビで、モスクワ放送交響楽団の演奏を、聴く機会はありましたが、一度は、生で聴いてみたいと思いながら、いつも、こちらのスケジュールが合わなかったり、チケットが、取れなかったりでした。
という訳で、最も、生で聴きたかったオーレストラの演奏会に、やっと行くことがかないました。それも、フェドセーエフさんとのコンビでというのは、申し分ありません。今回の、日本公演は、大阪公演も組まれていましたが、コンチェルトのソリストとシンフォニーのプログラム内容で、平日の東京公演を、選択しました。 サントリーホールは、素晴らしいホールです。天井は高く、ワインヤード型レイアウトの客席は、傾斜は、なだらかに設計されているし、個々の座席も、寛げるスペースが、とられています。今回は、1階後方の上手寄りブロックで、2階のヒサシに、辛うじてかからない場所が、私の指定席でした。ヴァイオリンのソロを聴くには、ちょっと、遠かったのですが、良い席であったことには、「間違いない!」という感じです。
 楽員の皆さんが、ステージに登場され、まず、特に、驚いたのは、弦楽器のレイアウトでした。全体の配置を、コントラバス以外のストリングスから言うと、舞台中心最前列に置かれている指揮台を挟んで、上手側(舞台に向かって左手)手前が、1stヴァイオリン、奥がヴァイオリンチェロです。下手側(上手の反対側)手前が、2ndヴァイオリン、奥がヴィオラです。その後ろ2列目は、木管楽器で、前列は、上手側から、フルート、オーボエ。後列は、上手側からクラリネット、ファゴット。3列目は、金管楽器で、トランペット、トロンボーン、テューバ、フレンチホルン、そして、いよいよ最後列は、9台のコントラバスが、正面向いて、控えてます。また、パーカッションは、木管楽器より上手側に、マレット類の楽器、金管楽器より下手側に、スネアドラム、ティンパニー、シンバル、バスドラムという、並びでした。
第1、第2ヴァイオリンが、左右に分かれるという、特徴的な並び方は、日本では、高関健さんが、音楽監督をしていた当時から、採用した大阪センチュリー交響楽団のそれと、類似すると思います。個人的には、このレイアウトは、以前から、賛成でしたが、こういう全管編成でも、音楽が、大変ワイドに、楽しめたと思いますので、賛成です。
第1曲目の歌劇より2つの作品は、1つ目の軽やかなシンコペーションのノリと、2つ目の、やや暗い趣の中に、ややヨーロッパを意識したようなワルツを、楽しませてくれました。ボリュームを、マックスに、持っていくのではなく、洒落っ気すら感じさせる、ゆったりした時間を、提供してくれました。
続いて、黄金色のドレスに、身を纏った日本人の若い女性ソリストが、登場するコンチェルトです。彼女は、コンクールで、優秀な成績を収めてきたエリートで、大変技術力の高い演奏を聴かせてくれました。一度も、不安に思う処はなく、安定した音楽を、聴かせてくれました。第1楽章の前半を、リラックスした気持ちで、聴いているうちに、「チャイコフスキーのコンチェルトって、難しいのだなぁ!?」と、思いました。第2楽章は、静かな心もちにさせてくれて良かったと思います。終楽章は、このホールに、来て直ぐ思ったように、ステージから、私の席が遠かったので、オーケストラの伴奏ばかり聴こえました。何れにせよ、彼女のヴァイオリン演奏は、少し、期間を置いた後にでも、もう一度、聴いてみたいと思います。その時には、良い意味で、私の想像を、裏切ってくれる事を、期待します。
気を取り直して、後半のプログラムは、ラフマニノフのシンフォニー第2番です。このオーケストラの特徴が、どの位楽しませてもらえるのかと、おおいに期待しました。第2楽章にあるような、この作曲家得意のムーディーなモティーフは、ある意味、サラッと、聴かせてくれましたし、随所に、木管楽器のソロは、味のある演奏でした。コンサートマスターのソロも、良かったと思います。最終楽章は、ストリングス群の透明感あるユニゾンは、素晴らしかったと思います。tuttiiでの、迫力も楽しめました。
今回、遠くから、来てよかったと思える演奏会で、とても満足しました。ちなみに、アンコールは、2曲で、最初に、スヴィリードフ:「吹雪」より、ワルツの響き、次に、チャイコフスキー:「雪娘」より、道化師たちの踊り、でした。

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2003年11月29日

●来日公演

前回2000年3月の来日大阪公演もそうでしたが、今回も雨となりました。気分的なものですが、何時もながら、雨の日に、ホールに行くのは、気が重いというか、あまり好きではありません。そうは云うものの、天井のあるホール内は、雨とは、関係ないと云ってしまえばそれまでですが。
さては、午後3時には、家を出て、天王寺にある本屋で、時間を潰しつつ、なるべく雨の影響の少ない移動を心掛けながら、ホール近くで軽食を取り、午後6時40分頃、ホールに到着しました。
時間となり、コンサートマスターをはじめとする演奏家の皆さんが、舞台へと登場すると、拍手が起こりました。チューニングを終え、暫くして、指揮者のメータさんが登場するや、一段と大きな拍手が会場に響き渡りました。
シューベルトの交響曲が前半のプログラムです。演奏家は、まず、ストリングスは、ヴァイオリン22人、ヴァイオリンチェロ6人、ビオラ8人、コントラバス4人。木管楽器は、オーボエ、ファゴット、フルート、クラリネットが、各2人。金管楽器は、トランペット2人、フレンチホルン4人。打楽器は、ティンパニー1人という、二管編成でした。
演奏が始まって、早々に、木管楽器の美しい調べが展開すると、やっぱり、この公演に来て良かったと確信しました。また、第2楽章では、少ない数の弦楽器群から、厚みと輝きがあり、力みの無いソフトな響きを堪能させてくれました。
細かいことは、まったく気にしてませんが、こちらが聴きたいと思っている音楽の、それ以上に、こまやかな、音作りに、たびたび感心した楽曲でした。たとえば、「メゾ・フォルテ」の音量で、ゆったりとした下降系の音階的なメロディで「ディクレシェンド」しながら、次の小節の頭で、「メゾ・ピアノ」の音量で「新しいフレーズ」に移っていくという場面では、きっと楽譜に、こう書いてあるのだろうなと想像ができるような、基本的に高度なレベルで、よく行き届いた表現力を感じました。
後半のプログラムは、マーラーの交響曲でしたが、前半とは、対照的に、楽器も増え、チェレスタやハープのほか、ヘルデングロッケン(牛の首につける大きなカウベル)といった特殊打楽器も加わり、ステージ上は、演奏家で、溢れんばかりの状態となっていました。
実は、この楽曲は、初めて聴いたのですが、副題の「悲劇的」ということと、第6番ということで、無意識にですが、チャイコフスキー作曲の交響曲第6番「悲愴」と、何となく聴き比べるという準備をしてしまっていました。第1楽章が始まると、なるほど、暗い感じはするけど、音楽に、冷たさは無く、むしろロマンチックな感じさえ受けました。問題の第2楽章、第3楽章の順については、今回、初めて聴いただけに、何ともコメントしかねます。勿論、もう少し、いろいろな情報が分かってきたら、自分なりに楽しめる話題ではあります。
何の根拠も無い勝手な意見ですが、今回の第3楽章(スケルツォ)が、何となく、第1楽章の(リプリーズ)的な、音楽を展開するのであれば、その順序は、何処に来ても、不都合は無いという気はしました。古典的な交響曲の固定観念からすると、緩徐楽章が、第2楽章に位置するのが、必然的なようにも思います。
終楽章は、ここだけ聴いても、1つの楽曲といった感じの、中身の濃い、展開の多い楽章でした。ハンマーを打つ下ろす衝撃的な打楽器音は、迫力がありました。最後は、静かに終わるこの楽曲。このホールの残響2秒を、たっぷり楽しむために、東京公演ではないながら、Aプログラムを、ここに入れてくれたような気がしないでもない、この大事な残響を、先走りの拍手に、邪魔されたといえばそうかもしれませんが、これは、ご愛嬌。
まったくの余談ですが、関西では、どうも拍手のタイミングが早いというのは、東京のホールで聴く時と較べて、明らかな特徴です。横断歩道で、信号待ちをしていてもフライングが多い地域柄からなのでしょうか?というより、客として、この場をどう主体的に過ごすのかということに、こだわる人が多いということでしょうか?拍手が早い人って、楽曲が何時終わったか分からなくて、他の人の拍手につられて、自分も拍手するようでは、この場における自分の役割を果たした事にならないのでしょうね。
プログラム的に、時間が余らなかったということでしょうか?アンコールはありませんでした。

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2003年11月14日

●来日公演

本日の演奏会は、チケットを購入することを、ずっと躊躇していたのですが、危惧していたことが起こりました。私は、あまり気にしていないのですが、演奏中の聴衆のマナーについて、今日は、酷かったと思います。演奏中の写真撮影は、主催者側で禁止しているにも拘わらず、フラッシュが、何回もたかれましたし、演奏に、集中するには、些か邪魔になるような騒音も多かったと思います。
そういう人たちにとっては、撮影でもしなければ、高いチケット代の割に合わないとでもいう発想なんでしょうかね?私は、演奏を聴きながら、ここにコメントしたい場所を、メモしたりするのですが、こんなのもマナーには、反するのかな?
また、何度か、書いたかも知れませんが、楽章の合間に、思わず拍手が入ってしまうのは、あながちマナー違反とは云えないと、私は思っています。今回もありましたが、こういう音楽会に、滅多に来る事の無い人たちが、大勢、ソリストを目当てに、来たのだなぁと、想像できるからです。私見に過ぎませんが、音楽会は、コアな音楽ファンだけのためにあるわけではなく、何らかの理由でチケットを入手して来られた皆さんのために、平等にあるはずですから、“にわか”な音楽ファンに対しては、ある程度、寛容さも必要かなと思っています。
演奏会については、多くをコメント出来ませんが、このオーケストラは、厚い響きを大切にしているように感じました。演奏会を通じて感じたのは、オーボエの音色が、とても心に染み入りました。ソリストが登場するコンチェルトでは、一貫して、ソリストが、引っ張っていたように思います。諏訪内さんの演奏は、聴くたびに、テーマが違うので、今後も楽しみです。
今回、静かなフレーズを、柔らかく透き通った音色で聴かせてくれたと思います。第1楽章冒頭においても、フレーズの流れは、止まらずに、しかも、一つ一つの音程を、丁寧に優しく弾いておられた感じがしました。また、伴奏についても、ところどころ光る響きがあって、とても楽しめました。
ベルリオーズですが、フランスの作曲家の意図したイントネーションとは、違う表現だったのかも知れませんが、特に、第2楽章のワルツなんかでは、歴史あるこのオーケストラの特徴が出ていたのかも知れません。まさに、「音楽に国境は無い」というひと時を、楽しませてもらいました。第5楽章の終盤、漠然と聴いていて、「ああ、これが幻想なのか」と、思った瞬間がありましたが、何だったのかは、忘れました。
アンコールは、ベルリオーズ作曲、劇的音楽「ファウストの劫罰」よりハンガリー行進曲(ラコッツィ行進曲)と、ハンガリー舞曲集より第5番嬰ヘ短調でした。

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2003年06月22日

●炎の五番!

あのエネルギーは、何処から来るのかと、何時も感心させられるコバケンさんこと、小林研一郎さんが指揮をする演奏会は、あの“うなり”を期待しては、また演奏会に足を運んでしまいます。ハンガリー国立は、数年ぶりに聴くことになりましたが、さて、今回の、マンチックで、ダイナミックなプログラムでは、私たち聴衆を、どのくらい魅了してくれるのか、とても楽しみな構成となっています。
なお、このオーケストラに期待するのは、演奏全体としての及第点ではなく、所々に“光る表現”です。ハンガリーのオーストラならではの、フレーズの取り方や、音形、音長の処理が、心に残れば、かなり満足できるといえます。
さて、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」は、マエストロの指示が、的確に伝わるようにか?静か目に、ややスローに始まりました。今回の来日公演ツアーは、20日間で15公演と過密で、しかも沢山のレパートリーを、こなさなければならないという中、私の憶測ですが、この楽曲「運命」には、あまり冒険しないという感じだったのかもしれません。先日、別の国内オーケストラで聴いた、マエストロ指揮の、ベートーヴェン第7番でも、ややゆっくりテンポだったので、もしかすると、ベートーヴェンの楽曲に対するマエストロのテンポがあるのかも知れませんが、私には、よく分かりません。また、日本の気候のためか、弦楽器の響きが、やや重く感じました。
第1楽章では、最初のフレンチホルンは、うまくいかなかったけど、全体として、「運命の動機」は、随所にインパクトがある好演奏だったと思います。第2楽章は、バリエーションが楽しめる、私が、この楽曲の中で、最も大好きな楽章です。ところどころ、聴こえて欲しい音が、耳に届いてこなかったりしましたが、終始、丁寧な演奏だったと思います。第3第4楽章では、スピードに乗せる部分と、そうでない部分の、メリハリを楽しませてくれました。コバケンさんが指揮する演奏会は、マエストロのタクト、そして“うなり”に、演奏家と聴衆が、魅せられる独特の世界があり、それが楽しみで何度も足を運ぶ、ファンも多いようです。 後半のプログラムは、チャイコフスキーの交響曲第5番でした。これは、運命とは、対照的に、やや速いテンポを保ちながら、展開していきました。第1楽章冒頭のクラリネットと、第2楽章のフレンチホルンは、それぞれに、美しい音色を聴かせてくれました。第3楽章でのストリングスは、緊張と緩和を楽しませてくれました。終楽章については、コバケンさんの素晴らしいパフォーマンスに、会場全体が、乗っていった感じがします。また、金管楽器は、コンディションの調整も大変かと思いますが、しっかり、鳴らしていたと思います。総じて、後半のプログラムは、良い迫力を楽しませてくれました。
アンコールは、J.S.バッハ作曲:管弦楽組曲第3番の第2曲《アリア》いわゆる「G線上のアリア」、アイルランド民謡「ダニーボーイ」と、続けて演奏されました。アリアは、先日の第6番「悲愴」の後に聴いたのと、本日の第5番の後に聴いたのとでは、全く違う曲を聴いたという印象でした。もちろん、違う演奏家によるものだからかも知れませんが。
アンコール2曲目の後、コバケンサンの、ちょっとしたお喋りが入り、ブラームス作曲:「ハンガリー舞曲集」より第5番。さらに、コバケンさんの演出ですが、今回は、ラスト30秒アンコールではなく、ベルリオーズ作曲:「ラコッツィ行進曲」で、スタンディング・オベイションにて、終焉となりました。

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2003年06月19日

●来日公演

台風第6号が、九州地方に接近の折ですが、午後の飛行機にて、関西空港より、羽田空港へと向かいました。私が利用した飛行機も、関西空港への到着が遅れたため、定刻より遅れての発着となりました。羽田到着後は、予定通り、カレーミュージアムにて、早めの夕食をとろうと、関内(横浜市)を経由して会場に向かうことにしていたのですが、ここでまた、不運にも、JR線のダイヤが乱れる事態に遭遇してしまい、結局、カレーは、食べられず、自宅で作る用のカレー粉を買うくらいの時間しか取れませんでした。
今回は、どうも思うように行動できませんでした。
今回のお目当ての第一は、勿論ソリストにあるのですが、「悲愴」を、“お腹一杯”に、聴いてみたいというのも、楽しみのひとつでした。チケットは、4ヶ月前に遡り、先行販売で入手しましたが、この日が、大変待ち遠しくも、あっという間に、ここへ来たという感じがしないでもありません。
余裕を持たせて計画したはずの時間が、交通機関の停滞に、ことごとく食いつぶされていく中で、横浜~品川(京急)、品川~新宿(JR山手線)、新宿~初台(京王新線)と、電車を乗り継いで、コンサートホールへのファイナルアプローチについてだけは、開演の午後7時より数分前に到着するという、予定通りに行けました。公演パンフレット(有料)を購入し、手荷物をクロークに預けて、自分の座席に向かいました。 今回の分単位の行動は、前半のように、予定が狂う中では、動揺しますが、後半のように、予定通りの中では、けっこう余裕が有ります。そのため、ホールへ近付くに連れ、平静を取り戻していったため、“慌ただしかった”という感想は有りませんでした。
高い天井と、床や壁、座席などの素材に木を使用しているホール内は、清潔感があり、とても寛げる空間という印象を受けました。このホールへは、今回、初めて来たので、よく分かっていなかったのですが、座席は、S席4列11番ということで、やや前過ぎるのかな程度に思っていました。実際に座席に着いて、それが、前から2列目(4列なのに)の座席であることと知って、少し動揺しました。ちなみに、ステージは、見上げるほど高くなかったので平気でした。目の前にコンサートマスターが居るとうような座席位置のチケットを、自分で選ぶ機会は、滅多に無いなと思いながらも、演奏者に近い分、生音の臨場感が、より楽しめることくらいを期待しようと思いました。
前半のプログラム1曲目は、グリンカ作曲:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲です。指揮者は、特に、管弦楽をあおるような姿勢も見せていないし、演奏家の動きを見ていても、サラッと弾いているような感じがするのですが、この演奏には、大変迫力がありました。速いパッセージでは、弦楽器のまとまった響きが、清清しく感じられました。中間部のヴァイオリンチェロは、クリアな音色で、素敵なメロディーを奏でていたと思います。また、そのベースで刻まれるリズム感も、清潔な音楽の流れを感じさせてくれていました。
楽曲終盤の、6全音音階【解説によると、下行全音音階(悪魔のモティーフ)】を、高らかに響かせるトゥッティでは、それなりの盛り上がりが楽しめて、この管弦楽の演奏自体に、高い好感を持ちました。
2曲目は、ショスタコーヴィチ作曲:ヴァイオリン協奏曲第1番です。渡辺玲子さんは、お花(スイレン?)の絵が沢山入った、シルクのような落ち着いた光沢が有るシックなドレスで、登場しました。
第1楽章は、なんとも退屈な流れの無い(有る?)メロディが、何ともいえない緊張感を持たせながら続くのですが、堅く重い雰囲気の中、美しく奏でるヴァイオリンソロの響きは、一層、際立っていたような気がしました。また、ミュートを使う場面でも、不安に感じる箇所など全く見当たらない、筋の通った演奏が楽しめました。管弦楽が、大変安定しているためかも知れませんが、ソリストは、視覚的なオーバーアクションも少なく、音そのものの表現を中心に、楽しませてくれました。
第2楽章は、作曲者特有のリズム感が、随所に見られるのですが、序盤、木管(ファゴットなど)のリズムをベースに、その上を、ヴァオリンソロが、強いアタックで、音を、鍵括弧で括ったように、印象付けながら展開していく部分では、とても心地よい音楽を楽しませてもらいました。
ヴァイオリンチェロ、バス、フレンチホルンなどが、勇まく重厚な音楽を聴かせながら始まる第3楽章は、大変格好良かったと思います。たっぷり聴き応えの有るカデンツァを経て、そのまま第4楽章へと続きました。アレグロ・コン・ブリオは、軽快なテンポで展開し、私見ですが、まるで、トンネルを抜けて、ひた走る特急列車の窓から景色を眺めているような、スリル感が楽しめました。
ソリスト、指揮者、管弦楽の三者が、良い均衡(各役割の中での信頼関係)を保っていて、こんなにスッキリした協奏曲の演奏は、久々に聴かせてもらったような気がします。
休憩が15分というのは、短くは無いのですが、遠隔地から出向いている私にとっては、できれば20分は欲しかったです。前半のプログラムの余韻に浸りながら、ゆっくりコーヒータイムを楽しむには、せめて、あともう5分の余裕があれば、大変有り難いと思うのでした。
後半のプログラムは、チャイコフスキーの交響曲第6番でした。第1楽章冒頭のファゴットは、とても美しかったと思います。また、自然なリズム感を保ちながら、あの変拍子を演奏された第2楽章は、“目から鱗”という感じがしました。第3楽章は、そこそこの迫力でした。贅沢な話しですが、この楽章は、もう少し、後ろの方で、金管楽器の響きを、まともに受けながら聴いてみたかったような気がしました。終楽章は、弦楽器が、とても美しくて感動しました。木管楽器が、私の位置からだと、ヴァイオリンの奏者群の向こうに隠れていて、軟らかい音量(p)での表現が、もう少しクリアに聴ければ、もっと楽しめたかも知れないと思うと、残念な気がしました。この楽曲の締めくくりは、静かに終わるのですが、俯き静止する指揮者とともに、演奏家、聴衆が、数秒の沈黙(黙祷?)の後、大きな拍手で、会場が、湧き上がりました。
アンコールは、J.S.バッハ作曲:管弦楽組曲第3番の第2曲《アリア》いわゆる「G線上のアリア」と、R.ワーグナー作曲:歌劇「ローエングリン」より第三幕への前奏曲でした。いろいろと楽しめた演奏会でした。
翌日は、金曜日でしたので、朝一番の飛行機にて、羽田空港より、関西空港に移動し、定刻9時には、普段通り出勤したことは、言うまでもありません。

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2002年09月29日

●来日公演

みなとみらいは、2度目です。前回は、これまた、平日移動という強行スケジュールで、開演時間に滑り込みセーフという大変な目に合いました。今回のチケットは、先行予約にて、4月に入手していたため、すっかり忘れた頃に、この日がやってきた感じがしました。しかし、このオーケストラへの期待感が強かったせいもあり、是が非でもスケジュールを調整して、会場に行くべく、日帰りを強行することになりました。
帰りのシュミレーションをするために、桜木町駅と会場の間を徒歩で往復してみたところ、私の足では、どのくらい遅くとも片道15分で、着く事が分かりました。という訳で、午後8時40分前後の電車に間に合わせるには、会場を8時25分に出られたら、間に合うという訳です。
帰りの目途が立ち、一安心という処で、もう一度、桜木町駅から、会場へ向かいました。5時20分開場というので、コンビニで、軽食を買い食いしてから、会場に入りました。場内は、なかなか立派で、座席のスペースには、余裕があって、音楽鑑賞には、良い処かと思いました。前回、ここへ来たときは、オーケストラの背後から鑑賞する位置でしたが、今回は、前から15列、正面下手寄りの位置からという、けっこう良いお席が取れました。
マチネというほど、早くはないですが、通常午後7時から行なわれる事が多いコンサートの開演時間が、今回は、午後6時から始まります。パラパラと拍手に迎えられて、楽員の皆さんがステージに集まると、コンサートマスターが登場する前に、管楽器、そして、弦楽器のチューニングが行なわれました。その後、大きな拍手に迎えられて、コンサートマスター登場です。
さて、第1曲目の序曲です。エルガーの曲風とも云えるのですが、ワンタクトの4分音符が続く和音の展開が心地よく、強い印象を受けました。また、このオーケストラが、とても美しい音色と、高い技術力を持っていることが、よく表現されていました。
どうも、最近、諏訪内さんの演奏に、よく会うのですが、今回も、シベリウスを聴かせてくれました。銀ラメの上に黒レースという二層になった、ノースリーブから、やや日焼けした肩をのぞかせたワンピース衣装で登場された諏訪内さんは、大柄な、オーケストラ楽員の皆さんとは対照的に、華奢な感じに見えました。
演奏は、堂々としていて、今回、諏訪内さんの演奏には、緻密さがあります。私の先入観として、彼女の淡々としたというか、実直なというか、清潔感いっぱいのイメージがあるのですが、今回は、やはり、癖のないシンプルな演奏には、変わりないものの、どこか、情緒を感じさせてくれました。特に、第1楽章は、とても、集中した素晴らしい演奏でした。
休憩を挟んで、後半は、同じく、シベリウスの作品でした。正直なところ、この作曲家のシンフォニーには、殆ど馴染みがありませんでした。聴いてみた率直な感想は、ベートーベンや、ブラームスのそれに、匹敵するくらい素敵な作品でした。第3楽章から、第4楽章への入りが、よく分かりませんでしたが、終盤の音楽は、とても迫力があり、素晴らしかったと思います。
アンコールは、シベリウスの交響詩『フィンランディア』、続いて、シベリウスの『悲しきワルツ』でした。終演後は、午後8時29分の電車で、羽田空港へ向かい、午後9時45分発関西空港行きの飛行機で帰路に着きました。

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